君の声が聞こえた気がした
僕はどうしても君の名が思い出せない


言葉は今日も霧のように街を包む
完璧な理想の末裔は未熟な現実
薄れていく意識は必然として覚醒を拒んだ
酸素はこの空間を満たし僕は空を汚して
乱すこともなくただ呼吸を繰り返す

渇いたまぶたの裏に焼き付く君の面影
黒い蝶は森をさ迷いあの日へ還る
耳をふさいでも聞こえる君の声
葬ったはずの記憶と胸の痛みが今甦る










錆びた感情が映り込む平らな鏡
隙間を隙間で埋めるかのよう求め合い
出会いは終わり輪廻の結末に夢を見た
時の始まりを悟るように堕ちてゆく刹那
僕は両手を広げ暗闇へ溶けてゆく

君の涙は今日も止まらず天を潤し
色褪せた現実は熟した赤い実を落とす
届かないと判っていたはずのこの腕は
消えた君の
幻を今でも抱き締めている


確かに君の声が聞こえる
僕はまだ君の名が思い出せない…